2010年02月06日

eBook戦争の行方を占う―Amazonが後に引けぬ理由

eBook戦争の行方を占う―Amazonが後に引けぬ理由
Apple iPadがまだ出荷もされていないにもかかわらず、すでにAmazonはさまざまな手段でKindleのeBookビジネスを防衛する必要に迫られている。Amazonはすでに古くさい印象のKindleをリフレッシュするためだろうが、タッチスクリーン技術を開発しているスタートアップを急遽買収した。iPadの出現に勢いづいた出版社は、現在Amazonでは最高$9.99でしか販売できないeBookの価格をiPad同様、$14.99で販売させるようAmazonに迫った。Amazonはこれに降伏せざるを得なかった。以前は傲慢な態度だと批判されていたKindleチームだが、強力なライバルの出現に、出版社との関係を修復すべくあちこちで譲歩を余儀なくされているようだ。「Amazonの態度が明らかに変わった」とある編集者は語っている。

今後、AppleとAmazonの戦争はいろいろな方面で起きるだろうが、Appleが本当にAmazonの痛いところを突けるのは価格だ。 AppleがiTunesでやった一曲一律99セントという戦略を模して、AmazonはKindleストアでベストセラーは一律$9.99という価格戦略を採った。単一価格は新しい製品市場を立ち上げるには適している。その価格が従来の物理的な媒体より安価な場合は特にそうだ。デジタル音楽の世界では一律99セント戦略はうまく働いた。しかしAppleはeBookではAmazonの意表をついて、出版社に値付けの自由を与えた。そこで Macmillanは$14.99で販売できるようにすることを要求し、NewsCorpのRupert Murdochも傘下のHarperCollinsについて同様の不満を漏らしている。


その点でAmazonのeBook戦略はつまづいた。Amazonは5%のベストセラー市場で損をしても、それによって顧客をeBook市場に呼び寄せ、Kindleストアでやがて他のタイトルを買わせることで全体として利益を最大化しようとしていた。典型的な「損して得取れ」戦略である。 Amazonは送料無料サービスと同様、ベストセラーで損をしてもユーザーを引付けマーケットを拡大することで元を取ろうしていた。

Mahaneyに試算によると、Amazonは今年350万台のKindle、1億冊のeBookを販売できる見込みという。Kindleの本体と eBookの売上合計は($9,99だとした場合)、$1.9B(19億ドル)に上る。これは2010年のAmazonの売上予測全体の5%にあたる。もしAmazonが$9.99という価格を守れなければ、1億冊を売るのは難しくなる。それに加えて(要するにベストセラーを非常に安い価格で買えるのが Kindleの主要な魅力だったので)Kindlesの売上も減少するだろう。Kindleの売上が100万台減るとAmazonの売上全体が1%減少する(Barclayアナリスト、DouglasAnmuthの推定では今年のKindleの売上は300万台にとどまるだろうという)。さてiPadは KindleとKindleストアのeBookの売上をどれくらい減らすことになるだろうか?

タグ:Amazon
posted by rawwell at 10:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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